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3年前の「あとがき」を振り返ってみても,「猛暑とゲリラ豪雨」と「短い秋,早い木枯らし,初雪」,「記録的な寒波と豪雪」がキーワードでした。どうも最近では異常気象が毎年の話題になっているという印象です。今年の夏も各地で「猛暑とゲリラ豪雨」が話題になり,ついに8月12日午後1時42分,高知県四万十市江川崎で国内最高気温41.0℃を記録しました。記録の更新は,埼玉県熊谷市,岐阜県多治見市で40.9℃を記録した2007年8月16日以来,6年ぶりのことです。この異常気象は日本だけのことではなく,既に1月にNASAは今年の世界の気温が過去最高になることを予測していました。実際に南半球のブラジルやオーストラリアでも過去最高の気温を記録しました。このような地球規模の温暖化のなかで,熱中症だけではなく感染症を中心とする疾病体系が変化する可能性も示唆されており,臨床の現場では気が抜けない日々が続きます。
さて,そんななかで今月の特集は①「院内感染を防ぐ―基本的知識と対策」,②「知っておきたい消化管疾患の知識―専門医の診方・治し方」の2本です。院内感染は病院でも診療所でも大きな問題であり,その予防と対策は常に最重要課題です。本特集では器材の消毒・滅菌,病棟や手術室における院内感染対策から多剤耐性菌対策や針刺し事故への対応までの必須の課題を網羅していますので,この機会に改めて院内感染に関する基本的知識を整理しておきましょう。消化管疾患も耳鼻・咽喉頭と連続する境界領域疾患であり耳鼻咽喉科専門医にとってはまさに知っておきたい疾患ばかりです。今回は逆流性食道炎,食道癌,胃癌,ピロリ菌,経皮内視鏡的胃瘻造設術と炎症性腸疾患を取り上げました。ぜひ,ご一読ください。原著は2編ですが,いずれも力作です。9月号が発刊されるころにはさすがに「猛暑」は落ち着いていると思いますので,さわやかな秋風のなかでお読みいただければと思います。
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