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今年の夏も異常気象「低温と長雨」が話題になっています。発端は雨の少ない梅雨と台風5号でした。ノルーと名付けられた台風5号は,7月21日に南鳥島付近で発生した後,日本のはるか東の太平洋上を迷走し,29日には小笠原諸島に接近し,31日には「非常に強い」台風へと勢力を強めました。この時点で既に発生後10日を経過しています。その後,台風5号はゆっくりと九州に接近したのち,8月7日には室戸岬付近を通過し和歌山県に上陸し,8日に日本海へぬけて,9日に温帯低気圧となりました。つまり台風発生後,20日間にわたって猛烈な豪雨などさまざまな脅威を与え続けました。この台風は平均速度が遅かったため寿命の長い台風となり,寿命は1972年台風7号に次ぐ2位の記録となりました。ちなみに1972年台風7号は「断続した豪雨等による災害」として激甚災害に指定され,同年7月に発足した第1次田中角栄内閣にとっては発足早々の大規模災害となりました。今回の台風5号の通過が「低温と長雨」の始まりとなりました。例年に比べ本州への太平洋高気圧の張り出しが弱くなり,気温が低くぐずついた天気が続くことになりました。東京都心は8月になってから雨が21日間連続で降っています。7月下旬から北海道の北にオホーツク海高気圧が発生し,北東からの冷たい風「やませ」も吹いています。まさに「低温と長雨」で,東京都心の21日間連続の降雨は,8月としては1977年の22日間連続以来,実に40年ぶりのようです。
さて,今月号の特集は「明日から役立つ頭頸部領域の核医学—最新情報」「知っておきたい耳鼻咽喉科の在宅医療」の2本です。核医学は近年の画像診断としては最も期待されている領域ですが,FDG-PET/CTをはじめとして次世代の甲状腺疾患の核医学診断および放射性ヨウ素内用療法89SrCl2による骨転移治療など,進歩の著しい領域ですので,是非この際に知識を整理しておきましょう。また,超高齢社会を迎えたわが国では在宅医療も重要な課題です。10月号が発刊される頃に異常気象がどのようになっているのか想像もできませんが,「低温と長雨」の反動でさわやかな秋になっていることを期待したいと思います。食欲と読書の秋です。是非,ご一読いただきこれからの日常臨床の参考にしていただければと思います。
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