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あとがき
小川 郁
pp.1138
発行日 2014年12月20日
Published Date 2014/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200088
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10月23日夜に華々しい点灯デビューを飾った大阪市中央区道頓堀の名物「道頓堀グリコサイン」。6代目となる看板は青色発光ダイオード(LED)による映像が流れ,通天閣から富士山,東京タワーまでさまざまな背景の変化を楽しめます。5代目の「道頓堀グリコサイン」は16年余りにわたり親しまれてきましたが,老朽化とネオン管の入手難のため,本年8月に点灯を終了し,リニューアル工事に入っていました。5代目を踏襲するように青色の背景にゴールインマークが浮き出るようにデザインされ,照明に14万個のLED照明が採用されました。初年度の経済効果は291億円と試算されているそうで,本当に偉大な「道頓堀グリコサイン」です。
さて,本年のノーベル物理学賞にこの青色LEDを開発した赤﨑勇名城大学教授,天野浩名古屋大学教授,そして中村修二米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授が選ばれました。効率的な青色LEDを発明し,明るく省エネルギーな白色光源を可能とした,つまり,青色LEDに伴い可能となった技術こそがノーベル賞授与にあたる審査の基盤となる「人類に最大の利益をもたらす発明」として認められました。第一に青色LEDの効率には既存の電力系統の届かない世界中の人々に対する大きな福音が評価され,次に既存の赤・緑色ダイオードと混合することで「完全な白色」を再現できることも革命的な開発と評価されました。6代目「道頓堀グリコサイン」を生んだ本当に素晴らしい発明です。
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