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2001年12月,San Diegoで開催されたThe 2nd International Congress on Immunosuppressionで私は腎移植後のサイトメガロウイルス網膜炎(CMV retinitis after renal transplantation)について発表してきた。この学会は時代の最先端をいく移植医の学会で,opening plenary sessionに続いて,Heart & Lung, Kidney, Liver, Small bowelなどの臓器ごとのsessionがあり,熱い議論が交されていた。腎移植に関しては,他の国では死体腎移植がほとんどを占めるのに比べて,日本では生体腎移植が主流を占める。わが国ではやっと脳死(brain death)の道が開けたばかりで,いわゆる献腎移植(non heart beat donor)は極めて少ないために,生体腎移植を行わざるを得ない。そこでHLAはおろかABO血液型不適合であっても,親子間,兄弟間,ひいては夫婦間移植まで行われている。
日本国内では腎移植数随一の東京女子医大において,この血液型不適合間移植にもかかわらず,驚異的な生着率を誇っている。その高い成功率の秘訣は近年の強い安定した免疫抑制薬の導人にある。シクロスポリンと同じカルシニューリンインヒビターであるFK506(Taclorimus)は日本の藤沢薬品が開発したもので,in vitroでその100倍の免疫抑制効果があるとされている。Taclorimusは今学会の花形を演じていたといっても過言ではなかろう。さらに新しい代謝拮抗薬であるミコフェノール酸モフェチル(MMF)との併用がさらに免疫抑制を十分なものにした。しかしこれら強い免疫抑制薬の効果の陰には,思いがけない日和見感染の危険が潜んでいる。
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