第2回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【ワークショップ:これからの腎不全看護―生命の質はどこまで守れるか】
3.腎移植とQOL
桑島 聡子
1
,
渡辺 忍
1
1仙台社会保険病院
pp.25-27
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100041
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はじめに
人々の生活を物質的な面から量的にとらえるのではなく,精神的な豊かさ・生活の快適さなど,質的にとらえるクオリティ・オブ・ライフ(quality of life: QOL)の考え方が医療の現場でも重視されている.腎不全看護においても同じことがいえる.
慢性腎不全の治療では,透析療法と腎移植が両輪となっている.透析療法は,施設・スタッフなどの資源も充実して,ポピュラーになっている.しかし,治療の継続において身体的・心理的・社会的制約を伴い,このことが大きなストレスとなりうる.これはQOLに大きく影響すると考える.
それに比べて,腎移植ではドナーの存在が絶対条件であり,施設も限られてしまうため,まだ一般的とはいえないが,移植腎が生着し,透析療法を離れて社会復帰をすることができれば,QOLはきわめて向上する.しかし,その一方では,移植後に生じる新たな身体的・心理的・社会的問題が腎移植者のストレスを高めている.今回は,腎移植とQOLについて,仙台社会保険病院で行っている腎移植看護のなかから考えてみたい.
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