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連載 眼科手術のテクニック・95
涙嚢鼻腔吻合術の術中トラブルと対処—(5)術後治療と術後の狭窄と閉塞
Postoperative therapy and management for dacryocystorhinostomy
栗原 秀行
1
Hideyuki Kurihara
1
1栗原眼科病院
pp.1708-1710
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905573
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眼科領域における多くの手術は,例えば白内障手術にせよ網膜硝子体手術にせよ,術者がメスをおいた時点で大むねその予後をうかがい知ることが可能であるのに対して,涙嚢鼻腔吻合術(DCR)は,手術を終了した段階でいかに堅実な作業がなされていたとしても,そのことが必ずしも良好な予後につながるものではないことに留意しなくてはならない。
それはDCRが,すでに変性した,瘢痕化しつつある,癒着しやすい粘膜に侵襲を加えながら,より健全な粘膜上皮に覆われ,かつ十分な内腔を有する粘膜隧道の形成を期待するといった,ある意味で矛盾した目的を追究する術式であることと不可分ではない。加えてもともとこの内眼角部は,例えば外傷などで相当な損傷を受けても驚くほど早く修復がすすむところであり,また侵襲を加えた場合,身体の他の部に比べて極めて急速かつ高度な瘢痕形成が認められる領域でもある。したがつてDCRは手術そのものの手技が確実に行われることはもちろんであるが,術後の治療と管理がその予後に与える影響が大きいことをよく認識すべきであろうと思われる。
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