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連載 眼科手術のテクニック・92
涙嚢鼻腔吻合術の術中トラブルと対処—(2)涙小管・総涙小管の狭窄ないし閉塞を伴う場合
The utility of intraoperatively canal-intubation for dacryocystorhinostomy
栗原 秀行
1
Hideyuki Kurihara
1
1栗原眼科病院
pp.1310-1312
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905501
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涙嚢鼻腔吻合術(DCR)の遂行中,程度に差こそあれ涙小管の狭窄ないし閉塞を伴う例に遭遇することは決して稀なことではない。
最近の筆者の経験では,DCR対象症例の20〜30%には多かれ少なかれ涙小管の器質的閉塞が合併していたほか,筆者がDCRを始めて間もない頃の自験例80例の成績を通覧すると,術前に涙小管に狭窄ないし閉塞を認めなかった例でも,術後7%前後の症例には涙小管の狭窄ないし閉塞が出現しており,これらの多くは大変軽度なものではあったが,DCRの術後成績改善のためには涙小管障害の克服は避けて通れない課題であると思われる。筆者は,ここ7〜8年の間,DCR施行症例のすべてに,術中涙小管に径1〜1.5mm程度のシリコンチューブを挿入し,術後2〜4週程度留置する試みを行っている。自験例の成績からみて,このDCR施行時のシリコンチューブ留置は,涙小管の疎通性の改善と確保について極めて有用であり,ことに上述したようにこうした試みが行われる以前に出現した7%前後の術後狭窄ないし閉塞は大幅に減少している。本稿ではまず,筆者がDCR施行症例のすべてに行っているシリコンチューブ留置法について紹介し,次いでシリコンチューブ留置のみで切り抜けられる器質的涙小管閉塞とはどの程度のものであるかについて述べる。
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