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レーベル病と細胞質遺伝
小林 守
1
1帝京大学眼科
pp.1458-1459
発行日 1971年5月15日
Published Date 1971/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204592
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- 文献概要
レーベル病の細胞質遺伝について略述するにあたり,私事ではあるが,筆者の履歴に少しふれながら話を進めたい。筆者は昭和28年東京都立大学理学部生物学科を卒業したが,当時の教室主任は森脇大五郎教授(現国立遺伝学研究所々長),卒論担当は小野記彦教授(現日本遺伝学会幹事)であつた。理学部在学中,小野記彦教授の著書1)で細胞質遺伝を一読し,非常に興味をそそられたので,理学部4年生の夏休み(昭和27年)に細胞質遺伝の大家であるCorrensの名著"Nicht men—delnde Vererbung,1937年発行(非メンデル性遣伝)"の原著2)を通読し,これをほんやくしてみたことがある(400字詰原稿用紙450枚位)。
理学部卒業後,さらに1年間の浪人生活を経て東大医学部に入学したのであるが,医学部卒業後,眼科教室に入局した理由の一つは,眼病に遣伝性疾患の種類が多いと聞いていたからである。東大眼科入局早々より稀有なる遺伝性眼疾患をしばしば診察するチャンスに恵まれたが,その中にはレーベル病も含まれており,本病の遺伝型式として種々の仮説が各国の学者により提唱されている事を知つた。それら仮説の中には,我国の今井喜孝・森脇大五郎両氏による細胞質遺伝説3)があつた。
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