私の経験
レーベル遺伝性視神経症の1例
高阪 昌良
1
,
薄井 紀夫
1
,
大関 尚行
1
,
猪狩 栄利子
1
,
敷島 敬悟
2
,
内海 通
1
1総合新川橋病院眼科(川崎市)
2東京慈恵会医科大学眼科学講座
キーワード:
レーベル遺伝性視神経症
,
ミトコンドリア遺伝子
,
中心暗点
Keyword:
レーベル遺伝性視神経症
,
ミトコンドリア遺伝子
,
中心暗点
pp.717-721
発行日 2020年7月5日
Published Date 2020/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001734
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レーベル遺伝性視神経症(Leber hereditary optic neuropathy:LHON)は,ミトコンドリア機能不全による遺伝性視神経症である。今回,視神経炎との鑑別に苦慮し,遺伝子検査の結果,LHONの診断に至った1症例を経験したので報告する。
患者は15歳,男性。左眼の視力低下で当院受診。初診時,視力は右眼(1.2),左眼(0.03),視野検査では左眼中心暗点を認め,中心フリッカ値は右眼39Hz,左眼16Hzと左右差がみられたものの,相対性求心性瞳孔反応欠損(relative afferent pupillary defect:RAPD)は明らかではなかった。特発性視神経炎を考え,ステロイドパルス療法を検討したが,RAPDが明らかでなく,またMRIでも球後視神経炎を疑う所見は認めなかったことから,LHONの可能性も考え,ミトコンドリア遺伝子検査を東京慈恵会医科大学へ依頼した。経過中,右眼にも中心暗点を生じた。その後,ND6/T14484Cの遺伝子変異が判明し,LHONの確定診断に至った。
急性期のLHONの1症例を経験した。現時点では有効な治療法がないため,LHONを疑っても,遺伝子検査の結果が判るまで,患者や家族との対応などに苦慮した。
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