特集 第7回臨床眼科学會
普通講演
(12)レーベル氏病の蜘網膜所見
八十 一三
1
,
松本 主一
1
1神戸醫科大學眼科
pp.161-164
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201748
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レーベル氏病に對しCushing (1912)が始めて開頭を行い,腦の浮腫と蜘網膜下腔に液の潴溜をみた。その後Kuhn, Puech, Bonnet'et Guill-aumat (1940)等は前頭部と視交叉部の蜘網膜炎をみとめている。我が國では井街謙等がレーベル氏病10例に對し開頭を行い,各例共著明且特異な變化は視交叉附近にのみにあつて,蜘網膜は著明に灰白色に溷濁し,膜下に正常腦脊髓液を充滿し強く緊張膨隆し,嚢腫様外觀を呈し,該膜は甚しく肥厚し,強靱であつた。この膜は組織學的には退行變性の像を示し,炎症像は全くみられなかつた。このような蜘網膜の變化はレーベル氏病に於て特異なものであると主張している。以上の如くレーベル氏病に視交叉蜘網膜の變化が存することは一般にみとめられているが,このような蜘網膜の變化が本症に於ける視神經萎縮成立に對する關係,即ちこの膜の變化自體が視神經萎縮の直接原因であるかどうか,或は視神經萎縮と無關係に平行的に成立した變化であるかどうかの點に關しては未だ明らかにされていない。
私等はレーベル氏病8家系13例に開頭を行う機會に惠まれ蜘網膜の検索を行い得て聊か新知見を得たので報告す。
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