特集 眼科臨床の進歩Ⅲ
脳疾患
脳水腫の外科的療法
植木 幸明
1
1新潟大学(医学部脳神経外科教室)
pp.589-599
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202192
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
脳水腫は脳脊髄液の正常な循環が障害せられる為に脳室の拡張脳の圧迫萎縮を来たす疾患であって,これは髄液の産生から吸收まての経路の何れの部位に於ける障害であつても起り得る。大部分は脳室内に液が貯溜する内脳水腫であるが稀に脳の外に液のたまる外脳水腫もある。髄液の産生機転については,いまだ議論があり,脈絡膜叢の分泌か選択的透過かその見解が必ずしも一致して居らないし,又その吸收経路に於いても一通りの道でないことは確かである。然し乍らその大部分はDandy and Blackfan,1)Weed,2)Cushing3)並にSchaltenbrand4)等の研究により,脳室壁にある脈絡膜叢より産生せられ)金野53)によれば脈絡叢の分泌と血清からの透析によると云う),側脳室よりモンロー孔を経て,第3脳室に至り,更に中脳水道を通つて第4脳室に入り,Magendie氏孔並にLuschka氏孔より脳室系外に出で脊髄蜘網膜下腔並びに脳表蜘網膜下腔を充し,結局は静脈洞の血中に吸收されるというCushingのいわゆる第3循環が成立つことが証明せられた。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.