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Ⅰ.はじめに
実験的脳水腫には先天的なものと,後天的なものがある.先天的なものは,主としてラットの母体に種々の奇形誘発物質を投与することによって作成される.一方,後天的なものは1914年DandyとBlackfan3)がイヌの中脳水道に綿片を挿入して脳水腫を作って以来,種々の動物で脳室,中脳水道,大槽内へ化学物質を注入したり,バルーンで髄液路を閉塞したり,静脈系を結紮したりすることによって作成されている.
しかし,これらのほとんどがイヌ,ネコ,ウサギ,サルなどの比較的大きな動物で作られており,脳水腫の脳全体を組織学的に観察するには,難点がある.そこで我々はもっと手軽に利用できる小動物としてラットを用い,後天的脳水腫を作ろうと考え,近年進歩した手術用顕微鏡を利用することにより高頻度にこれを作りえたので,ここに若干の歴史的考察を加えて報告し,将来の髄液産生,流通,吸収機構の究明に役立たせようとした.
Experimental hydrocephalus was produced in rats in high percentage, by direct injection of kaolin-solution into the cisterna magna under a operating microscope. Rats with hydrocephalus showed retarded development of the body. The skull enlarged round and became so thin, that the cortical vessels were observed through the skull.
The brain showed marked internal hydrocephalus, retaining cerebrospinal fluid passage in the ventricular system, but there was an obstruction at the ambient cistern and the basal cistern.
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