グラフ 胎児奇形の映像診断
胎児水腫
原 賢治
1
,
小柳 孝司
1
,
中野 仁雄
1
Kenji Hara
1
1九州大学医学部婦人科産科学教室
pp.382-383
発行日 1983年6月10日
Published Date 1983/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206814
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胎児水腫は全身性の皮下浮腫,種々の程度の腔水症を主徴とする症候群で,病因としてはRh不適合妊娠による胎児赤芽球症をはじめとして,心疾患やリンパ系の異常,胎内感染など多くの原因が報告されている1,2,3,4。典型的な胎児水腫においては,超音波断層像で,頭部・躯幹・四肢などの皮下浮腫,胸水や腹水の貯留,胎盤の浮腫が観察されるため,その診断は比較的容易である。しかし,これらの特徴的な所見の出現順序やその程度は極めて多様・多彩である5)ため,時には診断に当惑することもある。ここでは,自験例3症例を呈示し,その超音波所見について報告する。
症例1は妊娠27週,子宮底長が異常に増大してきたため,超音波検査を受け,胎児水腫と診断された。皮下浮腫,胸水,胎盤の浮腫と少量の腹水を認めたが,その他には形態異常はなく原因不明の胎児水腫と判断された。児は妊娠34週で出生し,2時間後に肺拡張不全のため死亡した。剖検でも胎児水腫の原因を示唆するような所見は得られなかった。胎盤は900gで明らかな浮腫状を呈していた。
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