グラフ 胎児奇形の映像診断
胎児水腫
岡井 崇
1
Takashi Okai
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.674-675
発行日 1983年10月10日
Published Date 1983/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206872
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胎児水腫(Hydrops Fetalis)は従来,Rh-incompati—bilityによる胎児貧血とそれに伴う心不全を背景とするものが多いとされて来た。しかし近年の統計では,いわゆるnon-immuneの症例が増加していると報告されており,過去10年間の東大産婦人科及びその関連病院における症例の検討でも,その90%は血液型不適合に関連しない胎児水腫であった。全身の浮腫と胸水・腹水などの濾出液が貯留する特異な病態の発現機構については未だ不明な点も多いが,周産期医学の進歩に伴い,これまで致死率が100%に近いといわれていたこの疾患にも,intra—uterine treatmentが試みられ始めている。
診断,さらに治療を加えるとしても,その主役は超音波断層法である。超音波像では腹水が最も認識され易い。図1に胎児水腫症例の腹水貯留像を示す。この症例でも皮下浮腫は在存するが,図2により明らかな例を示す。皮下浮腫は一般に頭部で顕著に認められ,その超音波所見はgray scale表示がなかった頃からdouble con—tour signとして知られていた。図3に頭皮下浮腫の著明な例を示す。図4は原因不明の貧血を背景とした胎児水腫の症例で,超音波画像のガイド下にintra-uterine transfusionを行っている写真である。図5に同症例の出産後の写真を示す。全身の浮腫と腹水による著明な腹部の膨満が認められる。
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