特集 眼科臨床の進歩Ⅲ
脳疾患
腦腫瘍の眼症状
柳田 長子
1
1東大眼科
pp.600-605
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202193
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近年,脳神経外科学の発展に伴い,開頭手術により診断が確定した脳腫瘍の所見と,臨牀的諸症状との関係が明らかにされつゝあり,又眼症状との関連に就ても,明確にされた点が少くない。我が国に於ても,古くより臨牀的に脳腫瘍と見做された患者に就て,眼症状の観察を行つた報告は,少からず見られるのであるが,手術又は剖見により,脳腫瘍の診断が確定した多数の症例に関する文献は,未だ見られない現況である。
私は東大第一外科に於て,最近約20年間の中,手術又は剖見を行い,脳腫瘍の診断が確定した患者に就き,腫瘍の局在による分類に従い,既に前頭部,視束交叉部附近(脳下垂体腫瘍,頭蓋咽頭腫,鞍上腫瘍,嗅神経窩腫瘍,蝶形骨縁腫瘍)頭頂葉附近都,側頭部,後頭部,松果体部,中脳水道周囲部,脳橋部,並に小脳橋角部等の脳腫瘍の患者に於ける眼症歌を報告したのであるが,今回はこれ等の観察を根拠として,主として開頭時に見られた脳腫瘍の所見と,眼症状の臨牀的変化との関係を総括してみたいと思う。
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