病気のはなし
粘液水腫
紫芝 良昌
1
1虎の門病院内分泌学科
pp.720-725
発行日 1976年10月1日
Published Date 1976/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201170
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粘液水腫の病像
粘液水腫(myxedema)という病気は,1784年,Gullによって初めて詳しく記載されたと言われている.
まぶたが腫れ,顔もいわゆるしもぶくれになり色が蒼白く,手首や足首のあたりが腫れてはいるが,普通の浮腫とは違って指で強く押しても跡がちっともつかない.患者の話は声が低く,話の速度は極めてのろい.話が遅いのは決して目がまわらないわけではなく,話す内容が頭の中でまとまるのが遅いことから,精神活動は不活発なのだと分かる.きげんは決して悪いほうではなく,冗談が好きで一人でニヤニヤしている.非常に寒がりであり,夏でも厚い下着を着込んでいてちっとも汗もかかない,手や脚の力は非常に弱くなって,トイレでしゃがむと立てないなどのことがある.
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