抄録 シンポジウム
脳水腫
中田 瑞穂
1
,
荒木
2
,
金野
3
,
工藤
4
,
山本
5
,
清水
6
,
浅野
7
,
橋本
8
,
陣内
9
1新潟大学外科
2京都大学外科
3岩手大学耳科
4慶応義塾大学外科
5三重大学外科
6東京大学脳外科
7熊本大学外科
8名古屋大学外科
9岡山大学外科
pp.56-61
発行日 1957年1月1日
Published Date 1957/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200536
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中田教授
会長が非常に横暴で,事後承諾みたいにこんなことを拵えよと私に来信あつたのは一週間前で,何の準備も出来ませんでしたが,こう決つた限りは何とかお茶を濁さねばなりません。しかも30分でお終いにせよと云う事であります。シンポジアムにしろパネルにしろ大きな「脳水腫の問題」を30分でやれと云うのは,ひどい事だと思いますが,どうせ結論はわかつているのですから,30分位の間にほんの一言,二言おしやべりになれるか,或は順番が廻つて来ない方があるかも知れない。こういう所へお顔をおさらしになると云う羽目に至つたのは,之は決して私の責任ではないのであります。会長は充分に其の責任はお持ち下さる事と思います。悪しからず此の怨みを将来に持ちこさぬ様に願います。で先ず此の脳水腫の問題を片づけるとしますと,解剖とか,病理解剖と云う所から順序を立て始めなければならないと云う事になるが,とても其んな時間がありませんので,いきなり臨床神経外科医が携つている範囲,極く実地のところに限りたいと思います。其の点御了承願いたいと思います。で一番先に私の問題としたいところは,脳水腫とは脳室の中に脳液が溜るのでありますが,脳液の循環と云う事,其の産生,吸収について先ず知つておく必要があります。と申しますのは,脳水腫は非常に沢山のLiquorが溜りまして,それから,誘導したりすると一日量は相当量に達す。
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