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あとがき
坂本 泰二
pp.252
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102615
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これを書いている2009年1月現在,周りは不況,派遣切りなど暗いニュースばかりです。マスコミによれば,これは過去数年間にわたる新自由主義に基づいた政策の誤りが原因だそうです。確かに,過去数年はさまざまな分野で規制緩和が行われました。医療界でも,混合診療の議論,株式会社の参入,広くとらえれば新臨床研修制度もその範疇に入るでしょう。病院も収益を上げることが求められ,専門化というと聞こえはよいですが,要は高収益性分野のみを診療し,他は顧みない行為が堂々とまかり通っていたような印象があります。
眼科領域でいえば,未熟児診療などは顧みられなかった分野の代表かもしれません。実際に未熟児診療に携わる眼科医は限られるので致し方ない面はありますが,眼科専門医を標榜するにはこの知識は必須です。未熟児診療が専門でない眼科医も,現状について一般の方に説明する必要はありますし,専門でないのでわからないというのは責任放棄でしょう。今回の特集は,未熟児診療です。近年,治療面で著しい進歩があった反面,未だに難治であることが,わかりやすくまとめられていますので,未熟児診療の最新知識の獲得に役立ててください。
ジャック・ウェルチの著作を読んで,医局運営の参考にしようと考えていた自分を振り返ると,偉そうなことは言えませんが,今後は利益追求より,もう少し公の理論に基づいた医療が主流になるのではないでしょうか。
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