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あとがき
坂本 泰二
pp.262
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211239
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本稿を執筆している現在は2014年の暮れです。振り返ると2014年はさまざまなことがありました。科学界では幹細胞研究問題が社会を揺るがせましたが,眼科が社会へ与えた影響の大きさからいえば,コンタクトレンズ問題が一番大きかったのではないかと思います。屈折矯正手術は安全な手術であるにもかかわらず,一部の誤った診療やマスコミの極端な報道により頭打ちです。わが国には多くの近視患者がいますが,若い世代は眼鏡よりもコンタクトレンズによる近視矯正を好みます。またカラーコンタクトレンズによる傷害など,従来は考えられなかった事例も増えています。特に問題なのは,コンタクトレンズをインターネットや路上で購入する人々が非常に増えている点です。正しい装用法を知らないことによる患者が今後爆発的に増える恐れがあります。眼科医はコンタクトレンズについての最新の知識をもつ必要がありますが,今特集はその大きな助けになるでしょう。
もう一つの特集は脈絡膜です。OCTは今まで観察不可能であった脈絡膜を観察可能にしました。糖尿病や黄斑変性など多くの網膜疾患の本態は血管障害であり,脈絡膜にも当然病的変化が起きていると思われていましたが,観察が不可能なために研究は進んでいませんでした。ところが最近はどの専門誌を見ても脈絡膜関連の論文がないものはありません。今まさに発展中の分野であり,本特集はこの分野の理解のために大いに役立つと思われます。
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