今月の臨床 更年期・老年期医療のピットフォール
診断・治療におけるピットフォール
7.骨粗鬆症の診断
倉澤 健太郎
1
,
五来 逸雄
2
1横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター婦人科
2国際医療福祉大学附属熱海病院産婦人科
pp.1352-1355
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904779
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
わが国では,急速な人口の高齢化に伴い,骨粗鬆症の患者数は増加の一途をたどり,老年内科・内分泌内科・整形外科・放射線科・婦人科など多科にわたる臨床医が骨粗鬆症を診療する時代になってきた.骨粗鬆症を診断し,治療する目的は骨折の予防であり,本疾患に対する理解を深め骨粗鬆症を正しく診断することは重要である.
わが国においては,1987年に厚生省「シルバーサイエンス研究班」の退行期骨粗鬆症診断基準が提唱されて以来,1993年に厚生省長寿科学研究班による診断基準1)が提唱された.1995年に日本骨代謝学会で骨粗鬆症診断基準検討委員会が設置され,1996年には2000年まで用いられていた診断基準が作成された2).その後,横浜市立大学,放射線影響研究所,川崎医科大学,成人病診療研究所を受診した女性で,腰椎骨密度測定が行われてから平均3.3年間追跡された脊椎骨折についての情報があり,追跡期間に骨代謝に影響する薬剤の投与を受けていない1,539例について縦断調査が実施された.その結果,1996年の横断調査により決定されたカットオフ値が縦断調査により妥当であることが明らかとなった.これを基にして,原発性骨粗鬆症診断基準(2000年度版)が作成された.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.