今月の臨床 更年期・老年期医療のピットフォール
診断・治療におけるピットフォール
6.泌尿器の萎縮:尿失禁,子宮脱
松田 秀雄
1
,
古谷 健一
1
,
菊池 義公
1
1防衛医科大学校産婦人科
pp.1345-1351
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904778
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はじめに
近年の高齢化の進行とがん検診意識の向上やHRTの普及に伴い,日常,婦人科外来を受診する中高年女性は増加の傾向にある.更年期,老年期における頻度の高い良性疾患として,尿失禁,排尿困難,性器脱,萎縮性腟外陰炎などがあげられるが,今後,婦人科医としてこれらの疾患に対応する必要性はますます高まると考えられる.
女性生殖器は解剖学的に膀胱・直腸と接している.よって従来婦人科単独疾患と考えられがちであった性器脱の診断,治療に際しては,排尿機能の改善,強化の観点からのアプローチが求められよう.とくに,尿失禁の潜在的な患者数は数百万人規模(成人女性の28%が経験し,そのうちの15%が治療対象1))といわれ,今後の取り組みが重要な領域のひとつとして注目される.
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