今月の臨床 不妊症はどこまで治せるか
ARTの基礎
6.卵管は生殖器官として不必要か
井上 正人
1
1東海大学医学部産婦人科
pp.148-149
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901602
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“卵管は生殖器官として不必要か”と問われれば,答は当然のことながら“必要”である.卵管の重要性はその機能的および器質的障害が不妊の最大の原因であり,かつ卵管性不妊がもっとも難治性であることからも容易に理解されよう.不妊症の治療は卵管性不妊との戦いであったと言っても過言ではない.その戦果が卵管形成術へのmi—crosurgeryの導入であり,IVF-ETをはじめとするARTの開発である.では,IVF-ETによって卵管性不妊の問題は解決されたのであろうか.答は“NO”である,卑近な例をあげれば,IVF-ETを数回行っても妊娠せず,腹腔鏡下卵管開口術,あるいは卵管角部吻合術を行ったところ,簡単に妊娠した症例をわれわれはいくつも経験している.
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