特集 分野別・必読論文選考対談:次世代に語り継ぐ論文はどれか?
器官形成
武田 洋幸
1
,
高橋 淑子
1東京大学 大学院理学系研究科生物科学専攻動物発生学研究室
キーワード:
Schwann細胞
,
細胞運動
,
細胞間コミュニケーション
,
細胞分化
,
器官形成
,
腸
,
理論モデル
,
学術論文
,
細胞系譜
,
機械的過程
Keyword:
Cell Communication
,
Cell Differentiation
,
Cell Movement
,
Academic Dissertations as Topic
,
Intestines
,
Models, Theoretical
,
Schwann Cells
,
Cell Lineage
,
Organogenesis
pp.190-193
発行日 2016年2月22日
Published Date 2016/2/22
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高橋 器官形成研究には5つのKey Wordがあります.それは「cell lineage( 細胞系譜)」,「potencial( 分化能)」,「migration(細胞移動)」,「tissue interaction(組織間相互作用)」,「mechanical force(物理的な力)」で,これらのKeyWordに沿って重要論文を挙げました.まず,cell lineage(以下,lineage)に関する論文が1です.脊椎動物の初期発生で神経堤から上皮間葉転換(EMT)して遊走する神経堤細胞と呼ばれる細胞群は,移動しながら様々な細胞種に分化します.その1つに色素細胞がありますが,長年,神経堤細胞は背外側に移動しながら色素細胞に分化するものだとばかり思われていました.ところがErnforsらは,神経堤細胞がじつは腹側に潜水艦のようにいったん潜ってシュワン前駆細胞に分化して,今度はニューロンの上を這いながら表皮のほうに浮いてきて色素細胞になることを見つけたわけです.これまでの通説を見事に覆したビックリ仰天論文でした.
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