指標
マイクロサージェリーの臨床応用—卵管の端々吻合を中心に
井上 正人
1
,
篠塚 孝男
1
,
杉原 義信
1
,
見常 多喜子
1
,
黒島 義男
1
,
藤井 明和
1
Masato Inoue
1
1東海大学医学部産科婦人科学教室
pp.663-668
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205658
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婦人科手術はそのほとんどが病的な子宮や卵巣の剔出であり,機能の回復を目的とした手術はわりあいと少ないが,卵管形成術はそのなかでも代表的なものである。
女性の不妊症のうち卵管の障害によるものが最も多く,約40%を占めるといわれている1)。しかし従来の方法による卵管形成術は,術後の妊娠率が全体的に低く2,3),悲観的である。最近microsu—rgeryが,婦人科領域にも応用されるようになり,まだ少数例ではあるが,不妊手術後の卵管再疎通術や卵管角閉塞の治療において,画期的な成績が報告されている4)。また,microsurgeryの進歩により,卵管の移植が技術的に可能となり,ヒツジを用いた実験では,卵管の自家移植後の妊娠がすでに報告されている5)。卵管の損傷が高度な場合は,今のところ治療方法がなく,妊娠は絶望的であるが,もし卵管移植が臨床的に可能となれば,健康な卵管が婦人科手術時比較的容易に入手できることから,卵管性不妊の治療上有力な手段となるものと思われる。
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