明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 卵管
生殖における卵管の役割
鈴木 秋悦
1
,
北井 啓勝
1
Shuetsu Suzuki
1
,
Hirokatsu Kitai
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.87-90
発行日 1984年2月10日
Published Date 1984/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206934
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近年,マイクロサージェリー1)と体外受精2)という2つの卵管性不妊の治療法が開発された。マイクロサージェリーは卵管避妊術後の再開通術に有効であり,体外受精は技術上,倫理上の問題はあるが,不可能と思われていた卵管不妊患者の挙児希望を実現した。
しかし,これらの新技術は臨床上に新たな課題を提起している。すなわち,マイクロサージェリーによる卵管形成術では,卵管機能障害の部位および程度についての明確な規準がなく,再建手術の結果に対する評価は非常に困難であり,また,卵管水腫や過短卵管などの妊娠率の低い症例の検討も必要である。また,体外受精法は,基本的には,卵管の機能を補う卵管バイパス法であり,卵管機能の生理にどれだけ近似しているかという観点からの検討が重要である。受精卵移植後の妊娠率の低さ,充分に発育していない胚の子宮内移植の意味など解明すべき問題は多い。
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