症例
気管閉鎖と持続的低羊水サーファクタント値を示したVACTERL associationの一症例
津田 晃
1
,
樋口 誠一
1
,
村田 昌功
1
,
清水 靖
1
,
谷頭 幸
1
,
池上 俊哉
1
,
木村 菜桜子
1
,
松浦 亨
1
,
平野 秀人
1
,
真木 正博
1
,
大友 公一
2
Akira Tsuda
1
,
Koichi Otomo
2
1秋田大学医学部産婦人科
2公立横手病院産婦人科
pp.241-244
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900759
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近年,新生児外科疾患の多くは出生前診断の向上により,出生前に多くの情報を得ることかできるようになってきており,そのため出生直後の迅速な集中治療が可能になってきた。今回われわれは,羊水過多を伴い出生前超音波断層法にて胎児食道閉鎖,水腎症,総排泄腔,および鎖肛が疑われ,生後気管閉鎖も確認され,予後不良だったVACTERLassociationの一症例を経験した。この症例では,羊水中のサーファクタントが妊娠末期まで持続低値をとるという特異な経過をとったので,その詳細と文献的考察を加えて報告する。羊水サーファクタントの持続的低値は気管狭窄あるいは気管閉鎖などの上気道閉塞を合併している可能性を強く示唆するもので,蘇生時には挿管不能の状態を想定し,気管切開の準備なども十分考慮する必要があると考えられる。
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