症例
羊水過多症を伴い,一児に心不全をきたした一絨毛膜一羊膜双胎の一例
津田 晃
1
,
樋口 誠一
1
,
村田 昌功
1
,
松浦 亨
1
,
池上 俊哉
1
,
清水 靖
1
,
平野 秀人
1
,
真木 正博
1
,
大友 公一
2
Akira Tsuda
1
,
Koichi Otomo
2
1秋田大学医学部産婦人科
2公立横手病院産婦人科
pp.749-753
発行日 1992年6月10日
Published Date 1992/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900911
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双胎は,一般に単胎より周産期死亡率が高いと言われており,この原因として,高い切迫流早産率や胎児間輸血症候群にみられる胎児心不全,また分娩時の懸鈎に代表される分娩障害などがあげられている。この中で,一羊膜双胎は頻度的には非常にまれであるが周産期死亡率が約50%にも達することが従来より指摘されており,その原因は臍帯の絞扼によることが多い。今回われわれは羊水過多症,および切迫早産のため当院へ母体搬送された双胎例で,一児に心不全をきたした一羊膜双胎例を経験したのでその病態と胎児心不全の診断の根拠となった超音波トップラー法による胎児血流計測値について報告する。胎児心不全の診断はいまだ確定した基準はないが,胎児血流診断では,下大静脈逆流係数と心胸郭断面積比が参考となる。これらの急速な増加を伴う例では早急な対処が必要と考えられる。
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