Modern Therapy 新生児異常発見のための臨床検査
新生児呼吸窮迫症候群発生予知に関する羊水検査
平野 秀人
1
,
樋口 誠一
1
,
真木 正博
1
Hideto Hirano
1
1秋田大学医学部産科婦人科学教室
pp.247-255
発行日 1981年4月10日
Published Date 1981/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206412
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周産期医療が未熟児の救命の時代から後遺症なき生存の時代へと移りかわってきた現在,産科医による周産期管理が重要になってきた。特にRDSに関しては,その出生前の対策として,次のようなことがあげられる。つまり,1)発生予知診断1,2,3),2)陣痛抑制剤による可能な限りの妊娠期間の延長,および3)副腎皮質ホルモン剤4,5)やβ2stimulant6)などの肺サーファクタント産生促進作用を持つ薬剤の投与などである。また,やむを得ず分娩に至った場合には出生直後の迅速な診断,処置,あるいは周産期管理システムのある施設への速やかな搬送が産科医としての大きな使命となってきている。
最近,人工換気療法を中心とするめざましい周産期管理システムの発達により,RDSの救命率が急速に高まってきた7)。また,藤原ら8)による肺サーファクタントの補充療法も成果をあげつつある。しかし,RDSという疾患は,出生前の診断により,その発生を未然に防ぐことが可能な場合が多いところに特徴があり,そこに産科医としての果たすべき重要な役割がある。そこでわれわれは,RDSの出生前診断として迅速かつ正確な情報を得るために,特に羊水による検査法を検討してきた。
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