症例
分娩前に造影MRIを用いて出生前診断を得たPotter症候群の1例
髙野 始
1
,
前川 岩夫
1
,
井関 紀一
1
,
藤本 肇
2
,
村上 康二
2
,
市川 智章
2
,
野坂 謙二
3
Hajime Takano
1
,
Hajime Fujimoto
2
,
Kenji Nosaka
3
1沼津市立病院産婦人科
2沼津市立病院放射線科
3沼津市立病院中央検査部病理検査室
pp.245-248
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900760
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Potter症候群は,両側の腎無形成・特徴的な顔貌・肺の低形成を伴う致死的な胎児奇形である。今回我々は,超音波断層法・MRIにて出生前診断を得た1例を経験した。
超音波断層法では腎・膀胱の存在が判明しないため本人・家族の了解を得てMRIを施行したが腎臓と考えられる像は認められず,腎の無形分を強く疑った。MRI造影剤を用いてみても造影される部分がなかった。腎無形成と下肢の奇形を考え,Potter症候群と診断した。児の外表には多発奇形があり,病理解剖所見では,両側腎臓とも無形成で両側尿管無形成・膀胱無成分であった。MRIおよびその造影剤の胎児への影響は不明であるが今後補助診断法として産科領域での応用が増加するものと期待される。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.