原著
高年齢妊娠と先天異常児
石崎 善昭
1
,
卯月 勝弥
1
,
山崎 秀博
1
,
椎名 美博
1
,
下斗米 啓介
1
,
一戸 喜兵衛
1
Yoshiaki Ishizaki
1
1北海道大学医学部産科婦人科学教室
pp.213-218
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206016
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近年,新生児死亡の原因のなかで先天異常の占める割合が高まっており,その原因を究明することが,母子保健の分野で急務となっている。しかし先天異常の成因と考えられている遺伝的素因,染色体異常,母体代謝異常,感染症,薬剤ならびに環境化学物質などの一部を除いて,多くの成因はいまなお未知のままである。このように未知の成因が多いなかで,高年齢出産と先天異常の関係は古くから注目されていて,母体年齢が先天異常の因子となりうることが知られている。とくに染色体異常に関するものでは,ダウン症をはじめTri—somyを主とした異常妊卵の一群と,母体加齢との関係が明らかにされつつあり,妊娠中期以前の羊水による染色体検査の適応ともされている。しかし一方,染色体異常とのかかわり合いが薄い先天異常の加齢因子との関係の検討には,厖大な資料が必要とされることもあり,これに関する報告は少ない。今回われわれはこの種の先天異常児5,375例について,その母親の出産時年齢調査を行ない,加齢にともなって増加する疾患を検討してきたので報告する。
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