褥瘡の病理・予防・治療・11
症例—特に高年齢の場合
木村 哲彦
1
1国立身体障害センター整形外科
pp.1241-1244
発行日 1975年12月1日
Published Date 1975/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917396
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すでに述べたことであるが,褥瘡発生の副的因子として全身状態の悪化がある.これは好発部位における局所組織の諸条件を悪化させるものである.高齢者においては,年齢ゆえの組織の退行変性も加わり,全身的な生活能力の低下は,組織に対する物理的圧迫など外的刺激に対する感受性も弱める結果となり,同時に運動能力をも低下せしめている.生活能力が全般的に低下してくると,主因である圧迫もより直接的に加わる結果となり,細菌感染に対する抵抗力も低下してくることは容易に理解できるところである.このような老人が疾病に罹患した場合は,さらに諸条件は悪化するものと考えられる.
今回は,社会福祉法人・浴風会特別養護老人ホーム・病院に収容された高齢者に発生した褥瘡を誌上で紹介し,主因である物理的圧迫のみが大きな問題となっている患者の看護以上に,副的因子に関連する困難な現実が存在することに目を向けてみる.
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