Modern Therapy リプロダクション・エイジ--その発来と晩期をめぐって
具体的治療のポイント
高年齢婦人の胞状奇胎の管理
相馬 広明
1
,
斎藤 俊樹
1
,
三枝 裕
1
,
高山 雅臣
1
,
柏木 博之
1
,
井坂 恵一
1
,
菊池 献
1
,
菊地 威史
2
Hiroaki Soma
1
,
Takeshi Kikuchi
2
1東京医科大学産婦人科教室
2小山市立病院産婦人科
pp.633-637
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206300
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高年齢婦人においては妊娠の機会は減少し,極めてまれになるというのに,胞状奇胎の発生頻度は逆に高くなるという報告が注目をあびつつある(椎名,一戸)。それによると45歳以上の奇胎発生率は25倍以上の増加がみられたという。すでに胞状奇胎が45歳以上の妊婦に,それ以下の妊婦群に比して25倍も高く発生することが報告されているが(Yen),さらに50歳以上の婦人の胞状奇胎の発生が3〜6倍も増加しているという報告もあり,また57歳の奇胎発生例も報告されている(Divack,Jequier,Pearson,Mandsley)。その際45歳以上では絨毛癌のような続発性,悪性変化をきたす頻度も高くなるという(Yen,一戸)。この理由として加齢とともに異常卵の出現や,奇形発生が多いことが関連すると考えられる。世界の文献に報告された50歳以上の胞状奇胎患者106例の診断にあたり,術前胞状奇胎と診断されることが非常に少なく,したがって子宮筋腫,子宮体癌,機能性出血などと診断されることが多い(Jequier)。
これまでの高年齢者の胞状奇胎の管理には,子宮全摘が第一にあげられているが,それだけでなくもっと厳しい治療管理が必要となる。
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