原著
妊娠母体・胎児・新生児におけるreverse T3ならびに3,3’—T2の測定
杉本 充弘
1
,
神保 利春
1
,
水野 正彦
1
,
坂元 正一
1
,
長滝 重信
2
Mitsuhiro Sugimoto
1
,
Sigenobu Nagataki
2
1東京大学医学部産科婦人科学教室
2東京大学医学部第3内科学教室
pp.219-225
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206017
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血中の甲状腺ホルモンとしてはthyroxine (T4)と3,5,3'—triiodothyronine (T3)とがあるが,このうちT4は甲状腺で合成され,血液中に分泌される。また,T3はその20%はT4とともに甲状腺で合成・分泌されるが,80%は分泌されたT4が末梢組織で脱ヨード化deiodina—teされて生じたものと考えられている1)。 T3は生物学的活性を有し,T4のphenolic ringの5'の位置のdeiodi—nationにより生じたものである。しかし,最近,T4のnonphenolic ringの5の位置のdeiodinationにより生ずる3,3',5'—T3(reverse T3,rT3)のRIAが可能となり,生体内に存在することが明らかとなった2)。このrT3は,大部分末梢でのT4のdeiodinationにより生ずることがわかってきた。すなわち,甲状腺から分泌されたT4は末梢でT3あるいはrT3に転換するが, T3が強い甲状腺ホルモン活性を有するのに対し,rT3は生物学的活性をもたない。
最近,呼吸器や消化器など甲状腺以外の疾患3),Ano—rexia Nervosa4,5),飢餓6)などの病態においてT3が低値を示すことが報告されている。
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