今月の臨床 不妊診療のABC─ARTの前にできること
不妊原因診断とARTの前の対処法
1.中枢性排卵障害・高PRL血症
今井 文晴
1
,
岸 裕司
1
,
峯岸 敬
1
1群馬大学医学部附属病院産科婦人科
pp.1108-1112
発行日 2011年9月10日
Published Date 2011/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102775
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排卵障害は不妊症原因の約1/3を占め,臨床上大きな問題となっている.このため排卵障害の原因と重症度を正確に診断し,これに合わせた適切な治療法を診断することが重要となる.排卵が障害される原因は主として,(1)視床下部,(2)下垂体,(3)卵巣の各部位に認められ,これは表11)のように分類される.
視床下部性排卵障害の主な原因として栄養不良やストレスが挙げられる.これは視床下部におけるGnRH分泌低下により引き起こされるとされる.GnRH分泌は中枢・末梢の種々の因子により促進的または抑制的に制御されているが,近年GnRH分泌促進因子としてレプチンおよびkisspeptinが,またGnRH分泌抑制因子としてneuropeptide Y(NPY)などの摂食促進因子やストレス関連因子の一部およびgonadotropin inhibiting hormone/RFamide-Related-Peptide(GnIH/RFRP)が注目を集めている.栄養不良の状態や強いストレスを受けた状態ではGnRH分泌促進因子の作用の抑制とGnRH分泌抑制因子の作用の活性化が同時に起こり,GnRH分泌が低下するものと推測される2)(図1).
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