今月の主題 内分泌疾患の検査
下垂体前葉ホルモン系
ホルモンの基礎値
PRL(プロラクチン)
日高 博之
1
,
片上 秀喜
1
1宮崎医科大学第3内科
pp.2248-2250
発行日 1996年12月10日
Published Date 1996/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905788
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ポイント
●プロラクチン(prolactin:PRL)は,アミノ酸199個からなるペプチドホルモンで,下垂体前葉のPRL分泌細胞で合成される.視床下部から抑制的な分泌調節を受けており,主なPRL放出抑制因子はドーパミンである.
●PRLは,乳汁の合成・分泌を促進し,排卵を抑制する.
●女性では無月経・乳汁漏出・不妊,男性では性欲低下・インポテンス・女性化乳房などの臨床症状を認めた場合,高PRL血症を疑い血中PRLを測定する.
●血中PRL基礎値が,妊娠・産褥期以外の成人女性で30ng/ml,成人男性で20ng/ml以上の場合,高PRL血症と診断される.
●高PRL血症の原因として,プロラクチノーマ,薬剤の副作用,原発性甲状腺機能低下症,および視床下部障害などがあり,それらの鑑別が重要である.
●プロラクチノーマの治療として,ドーパミン作動薬であるプロモクリプチン(パーロデル®),テルグライド(テルロン®)が用いられ,著効を示す.
●最近,プロラクチノーマ症例において,乳腺からの副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)分泌が刺激され,エストロゲン欠乏に基づく骨粗鬆症をさらに助長する可能性が示唆され,注目されている.
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