今月の臨床 不妊診療のABC─ARTの前にできること
不妊検査の要点
菅沼 信彦
1
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
pp.1102-1106
発行日 2011年9月10日
Published Date 2011/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102773
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1978年,世界初の体外受精児の誕生がEdwrads博士(2010年にノーベル生理学・医学賞を受賞)らによって成功して以降,この技術は全世界に広まった.日本においても,2008年には年間2万人以上が体外受精関連技術により出生している1).少産少子化が進むわが国においては,50人の出生児に対し1人は体外受精児となり,まさに「不妊治療=体外受精」の社会的印象を与えている.
しかしながら,わが国における潜在的な不妊患者総数は140万人におよぶと言われており,その中で不妊治療を受けているカップルは約1/3の47万人ほどである2).各種不妊治療の最終的な成功率などの詳細は別稿「インフォームド・コンセントに役立つ不妊統計(p1094)」に譲るが,多くの例では体外受精に至る前に妊娠に成功し得ると考えられる.ARTが不妊症患者に与える身体的,精神的負担が多大であることは言うまでもなく,さらにわが国においては健康保険の適応外であり経済的な負担も考慮しなければならない.
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