今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 A女性因子に対する薬物療法
【ゴナドトロピン療法】
43.遺伝子組換え型ヒトFSH製剤を排卵誘発に用いる場合,海外では発売する会社によって推奨する開始用量が違います.この相違の理由について教えてください.また,同じ活性単位であっても,遺伝子組換え型製剤は尿由来の製剤よりもヒトの卵胞に対する活性は高いのでしょうか.
伊藤 理廣
1
,
五十嵐 茂雄
1
,
岸 裕司
1
,
今井 文晴
1
,
峯岸 敬
1
1群馬大学医学部附属病院周産母子センター
pp.462-463
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102032
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[1]推奨開始用量の違い
現在,日本で入手可能な遺伝子組換え型ヒトFSH(リコンビナントFSH)は,ゴナールF®(follitropin alfa:メルクセローノ)とフォリスチム®(follitropin beta:シェリングプラウ)であるが,日本で女性の排卵誘発の保険適用があるのは,フォリスチム®のみである.
ヨーロッパにおいて,推奨開始用量はメルクセローノ社(旧セローノ)のゴナールF®は75IUであり,シェリングプラウ社(旧オルガノン)のPuregon®(=フォリスチム®)は50IUである.これは,後述するように,製品の単位が従来からの尿由来製剤と同一活性単位であっても,遺伝子組換え型製剤はヒトの卵胞に対する臨床的な活性は高いという治験結果を得たため,この結果をもとに製品段階でヨーロッパ内の委員会の承認を得る際に,Puregon®は開始用量を50 IUに下げたが,ゴナールF®は下げずに75IUのままとしたことに由来するものである.したがって,両者の基本的な活性が異なるというわけではない.
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