今月の臨床 子宮頸癌の治療─現状と展望
子宮頸癌の進行期診断と治療指針
紀川 純三
1
1鳥取大学医学部がんセンター
pp.797-799
発行日 2007年6月10日
Published Date 2007/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101382
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はじめに
子宮頸癌では,がん検診の普及などにより,早期癌症例の割合が増加した.また,若年者子宮頸癌の増加が指摘され,根治性と機能温存を両立させた治療法への関心が高まりつつある.
一方,子宮頸癌に対する治療法は欧米と本邦との間に差異がみられる.National Comprehensive Cancer Network(NCCN)のガイドラインでは,広汎子宮全摘出術の適応は臨床進行期Ia2期からIIa期症例であるのに対して1),本邦では一般にIIb期までを手術適応としている.放射線療法に関しても,欧米の照射法は低線量率で中央遮蔽を行わないのに対して,本邦では高線量率で中央遮蔽を行う.したがって,欧米のエビデンスをそのまま本邦に持ち込むことは困難である.
Quality of life(QOL)に対する社会的要求が強い現状にあっては,治療の個別化が重要であり,治療法の十分な理解が求められる.本稿では,子宮頸癌治療法に関する最近の知見について進行期別に概説する.
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