論述
精神障害者に合併した脊髄麻痺とその治療上の問題点
満足 駿一
1
,
梶原 敏夫
1
,
大谷 清
1
,
野町 昭三郎
1
Shunichi MANZOKU
1
1国立療養所村山病院整形外科
pp.735-742
発行日 1978年8月25日
Published Date 1978/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905753
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はじめに
一般に脊髄損傷は,産業災害や交通災害あるいはスポーツ災害などの,いわゆる不慮の事故に原因するものが大部分であるが,時には意図的な自損(自己破壊)行為の結果としてもこれが生ずることがある.すなわち,自殺企図者や精神病者による自殺行動がたまたま未遂に終つても,運悪しく脊髄損傷を伴つた場合がその例である.ともかくもこれらの場合には,自殺の動機もしくは背景となつた心理的過程や先行する精神病の存在そのものがひとつの特別の問題であるばかりか’実際,これらの条件は身体的回復処置にとつてもしばしば障害的である.もつとも精神障害と脊髄麻痺の合併という見地からすれば,なにも自損行為によるものだけに限らずとも,例えば精神病者がたまたまの事故や自然の疾病によつて脊髄麻痺に陥つた場合にでも,今述べたような事情は全く同じである.言い換えれば,いずれの場合にも事故もしくは疾病を契機として,先行する精神障害に重度な身体障害が新たに重複する.ところで,脊髄麻痺者にたいする精神科医の関与と役割についての文献は,従来より決して少なくはない.
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