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あとがき
山本 卓明
pp.710
発行日 2017年7月25日
Published Date 2017/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200872
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「こんなに海に近い地区なのに,あの地震の後,津波の心配をした人がほとんどいなかったんです…」東日本大震災による津波被害を受けた閖上地区を訪問した際に,語り部の方が無念そうに話されました.
今年5月に仙台で開催された第90回日本整形外科学会学術総会において,閖上地区の被災地視察があり,参加させていただきました.テレビや新聞などを通してみていた風景とは,全く別のものでした.「皆で当たり前のように生活していた街が,一瞬で押し流されてしまい,跡形もなくなってしまいました…」という話をお聞きしながら,配布された資料写真の津波襲来前の街並と,建物が全くなくなってしまった今の現実の風景を見比べて,改めて自然災害の猛威と恐ろしさを実感しました.土曜日の午前中に参加しましたが,学会場を出発するバスは補助席を使用するなど満席で,多くの先生方が,実際に被災地を訪問され,そして,言葉を失っておられました.自然の猛威に対して,人智の及ぶ限りの「想定」と「準備」をしておく必要性を痛感させられました.
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