臨床外科交見室
open tension-freeヘルニア修復術におけるメッシュの固定の必要性について
山本 俊二
1
1神鋼病院外科
pp.336-337
発行日 1998年3月20日
Published Date 1998/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903130
- 有料閲覧
- 文献概要
成人鼠径ヘルニアに対して,人工のメッシュを用いることにより,縫合部に緊張がかからない修復ができ,また,脆弱化した組織の補強もでき再発を防止することができる1,2).このメッシュを用いたopen tension-freeヘルニア修復術の術式や成績については,これまでにも発表している3-6).現在,製品化されたプラグやパッチが市販されるようになり7),取り扱いが容易となり,open tension-freeヘルニア修復術としてmesh-plug法7)が,多くの施設でも施行されるようになった8).
ただし,ヘルニア嚢を処理しないで,単に腹腔内に翻転し,この部分にメッシュ・プラグを挿入するだけであったり,メッシュ・パッチを鼠径管後壁に置くだけであったりして,メッシュの固定を行わない施設がある.たしかに,メッシュはそれ自身強力であるとともに,その網の目の中に線維芽細胞の増殖が加わり,4〜5週間後には周囲組織と強固に結合する.しかし,メッシュの不確実な固定が,プラグの逸脱や,パッチのちぢみをきたし,再発することが指摘されている9).実際われわれは,他院でメッシュを固定しなかったために再発をきたした症例を,過去1年間に2例経験している.メッシュを固定しない方法の誤りを指摘するとともに,手術中のメッシュの確実な固定の重要性を強調したい.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.