カラーグラフ 内視鏡下外科手術の最前線・39
肝・胆・膵・脾
早期胆嚢癌に対する腹腔鏡下胆嚢全層切除術
酒井 滋
1
,
春日井 尚
1
,
山川 達郎
1
Shigeru SAKAI
1
1帝京大学医学部附属溝口病院外科
pp.277-282
発行日 1998年3月20日
Published Date 1998/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903122
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はじめに
腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparoscopic cholecys-tectomy:以下,LC)は低侵襲手術として高い評価を受け,胆嚢結石症や胆嚢腺筋症などの良性胆嚢疾患に対しての標準的な術式として定着した1).一方,肝切除と広範囲のリンパ節郭清を必要とする進行胆嚢癌に対しては開腹手術が行われているが,従来より単純胆嚢摘出術,あるいは胆嚢全層切除術が行われてきた早期胆嚢癌に対しては十分に腹腔鏡下手術で根治が可能である.胆嚢早期癌のなかでは,Ⅱ型(表面型)やⅢ型(陥凹型)は術前診断はきわめて困難であり,胆嚢結石症として手術された標本に発見されることが多い.これに対してⅠ型(隆起型)は画像学的に捉えられやすく,いわゆる“胆嚢ポリープ”として切除されたなかに早期胆嚢癌が含まれることが多い.このために筆者らは胆嚢の隆起性病変,10mm以上の“胆嚢ポリープ”に対して手術をするときは,早期胆嚢癌の可能性を考慮し,胆嚢壁の全層切除術とsentinel lymph nodeの摘出を行うlaparo-scopic total cholecystectomyを方針としている.
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