私の工夫—手術・処置・手順・47
open tension-freeヘルニア修復術における接着剤によるメッシュ固定
山本 俊二
1
,
中野 正人
1
,
坂野 茂
1
,
山本 正之
1
Shunji YAMAMOTO
1
1神鋼病院外科
pp.1467-1468
発行日 1998年11月20日
Published Date 1998/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903446
- 有料閲覧
- 文献概要
open tension-freeヘルニア修復術でメッシュを固定しないと,プラグの逸脱やパッチのずれが生じ,再発が起こる1).針糸を用いてメッシュを固定する場合は,針糸の間に生じるメッシュと周囲組織との間の間隙が問題になる.特に,プラグとヘルニア門との間やパッチ下縁と鼠径靱帯のshelving edgeとの間に間隙が生じ,この部位からヘルニアの再発が起こる危険がある.針糸の数を多くすれば間隙が小さくなるが,時間がかかる.われわれは,針糸の間隙を被うために生体組織接着剤であるBiobond®(吉富製薬,大阪)を塗布しているので,今回その経験について報告する.
ヘルニア嚢の剥離を十分に高位(ヘルニア門の奥)まで行い,ヘルニア門を全周にわたり同定する.ヘルニア嚢は結紮・切離する.ヘルニア門(外鼠径ヘルニアでは内鼠径輪,内鼠径ヘルニアではHesselbach三角,大腿ヘルニアでは大腿輪,再発ヘルニアでは再発部)にプラグを挿入して,ヘルニア門の閉鎖を行う.ヘルニア門の周囲の組織に針糸を用いて,4針縫合・固定する.Biobond®をプラグの縁に塗布する(図1).約10秒で接着固定が完了する.次に,鼠径管後壁にパッチを当て,パッチの外側に作製したスリットの部分に精索を通す.パッチの内側下縁を恥骨結節前面に,下縁を鼠径靱帯のshelving edgeに,針糸を用いて各々2針ずつ縫合・固定する.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.