私の工夫—手術・処置・手順・40
乳腺部分切除—針糸による切除範囲の経皮的標識
宮内 昭
1
,
木原 実
1
,
松坂 憲一
1
,
西谷 暁子
1
Akira MIYAUCHI
1
1香川医科大学第2外科
pp.339
発行日 1998年3月20日
Published Date 1998/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903131
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乳腺部分切除の適応はこの10年ほどで大きく変化した.以前の乳腺腫瘤や硬結に対する摘出生検はほぼ影を潜め,代わって乳房温存療法としての乳腺部分切除が出現し,マンモグラフィーでの乳房微細石灰化巣や超音波検査と超音波ガイド下の穿刺吸引細胞診で悪性が疑われる非触知病変に対する乳腺部分切除が増えてきた.このような場合にはいずれも術前に設定した切除範囲を正確に切除することが必要である.乳房温存手術では意図した範囲と実際の切除範囲のズレは断端陽性をもたらし,局所再発のリスクを高める.意図した切除範囲を正確に切除するために,しばしば色素を注入してマーキングすることが行われているようである.液体の色素の注入では色素が拡散して術野が染色され手術の妨げとなる.そこでキシロカインゼリーなどと混ぜて注入することも報告されている.われわれは数年前から皮膚切開の前に経皮的に針糸でマーキングしており,実際的に有用な方法であると思うので報告する.
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