外科研修医実践講座・15
ドレナージの適応と術後管理
柵瀨 信太郎
1
,
大東 誠司
1
,
桜井 健司
1
1聖路加国際病院外科
pp.1165-1169
発行日 1994年9月20日
Published Date 1994/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901630
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
ドレナージの基本はすでに19世紀後半に確立していたが,抗生剤の発達した今日ではその適応に変化が起こっている.ドレナージには,①すでに発生している感染巣に対し排膿を目的とする治療的ドレナージtherapeutic drainage,②術後腹腔内に血液,滲出液,胆汁,膵液,腸管内容などの貯留が予想される場合に留置し,これらを体外に排泄して膿瘍化を防ぐこと目的とする予防的ドレナージprophylactic drainage(縫合不全や術後出血が懸念される場合,これらの情報を術後早期に知り,対策を立てようとする目的で使用されるドレーンを情報ドレナージindicator drainageと呼び区別することがある),③管腔臓器内からガスや液体をドレナージし,縫合不全や内容物の漏出予防を目的とする減圧ドレナージdecom-pressive drainageがある.
治療的ドレナージの適応に関しては異論は少ないが,予防的ドレナージの適応に関しては異論の多いところである.本邦では単なる胃切除や腸切除でも「念のため入れておこう」と習慣的にドレーンが使用されることが少なくない.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.