Japanese
English
特集 術後ドレナージの実際
開頭術後のドレナージ—その適応と運用について
Method and application of the drainage following craniotomy
坪川 孝志
1
Takashi TSUBOKAWA
1
1日本大学医学部脳神経外科
pp.457-462
発行日 1973年4月20日
Published Date 1973/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205777
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
開頭術にさいしては,それが単純な骨形成性開頭術(Osteoplastic Craniotomy)であれば,pe-ricranial areaにドレーンを設置することはあつても,脳内はもちろん,硬膜下,硬膜外のいずれにもドレーンを設置しないのが原則である.その理由は頭皮,頭蓋,硬膜,脳の解剖学的位置関係が,他の体腔臓器と異なつていることに求められる.まず頭蓋と硬膜,硬膜と脳との間に解剖学的空間がほとんど認められず,手術後の硬膜上の間隙や出血に対して,硬膜吊り縫合が極めて有効であるのが第1の特徴として挙げられる.第2に,手術後脳腫脹が存在すること,髄液を満した髄液腔を開放することなどが,無用の硬膜下ドレーンが髄液漏の発生や脳組織への圧迫壊死を招来することがある.第3の特徴は,頭蓋腔が天幕により2つの腔に分離されているので,ドレーンによる頭蓋内圧の変動により,天幕裂孔に脳陥頓(uncal herniation or upward herniation)を誘発する可能性がある点である.第4に,頭皮は血管が豊富であるために,手術後帽状腱膜下血腫の形成をみることがあるので,帽状腱膜下にドレーンを設置することは少なくない.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.