特集 肝胆膵外科手術における術前・術後ドレナージ
膵頭十二指腸切除術後ドレナージ
川井 学
1
,
山上 裕機
1
1和歌山県立医科大学第2外科
キーワード:
幽門輪切除膵頭十二指腸切除
,
ドレーン管理
,
早期抜去
Keyword:
幽門輪切除膵頭十二指腸切除
,
ドレーン管理
,
早期抜去
pp.277-283
発行日 2022年3月15日
Published Date 2022/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002656
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膵頭十二指腸切除(pancreaticoduodenectomy;PD)は膵頭部領域の腫瘍に対して施行される術式であり,腹部手術のなかでも難度は高い。NCD(National Clinical Database)によるPDの手術関連死亡は2.8%と報告されている1)が,術後合併症の発生率は30~40%といまだ高率である2-4)。PD術後合併症として膵液瘻,腹腔内出血,腹腔内膿瘍,胃排泄遅延,胆汁漏などが起こり得る。とくに注意すべき合併症は膵液瘻および膵液瘻によって惹起される腹腔内出血や腹腔内膿瘍であり,これらは手術関連死亡につながる重篤な合併症である。一般的に,腹部手術周術期管理におけるドレーン管理は,「出血」「縫合不全」「腹腔内感染」などの情報を得る重要な目的がある一方で,ドレーンの留置そのものが,腹腔内感染の原因となる場合や患者の疼痛の原因となり,体動制限・離床の妨げとなるため適正な使用が重要である。
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