特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
胃・十二指腸
食道浸潤噴門癌に対する非開胸経腹的横隔膜切開アプローチ—吊り上げ式開腹鉤と腸管自動吻合器を用いて
吉野 肇一
1
Kei-ichi YOSHINO
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.759-761
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210019
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吊り上げ式開腹鉤(以下,吊り上げ鉤)を用いて肋骨弓部を前,頭側方向に強く牽引すると横隔膜が伸展する.伸展した横隔膜を食道裂孔より前方に大きく切開すると噴門部から下部縦隔にかけて非開胸ながら良視野が得られる.
上腹部正中切開で開腹し腹腔内を精査する.食道浸潤を伴う噴門癌の多くは漿膜浸潤が陽性である.そのような例では胃全摘,R2+αのリンパ節郭清,膵脾合併切除,大・小網切除,盲網切除を行う.
噴門部および脾,膵尾部以外の操作は通常の開腹鉤で行う.大網の切除から始めて⑥,⑤のリンパ節を郭清後,十二指腸を切離.⑧,⑨,⑦のリンパ節を郭清後,吊り上げ鉤を装着する.脾,膵体・尾部を後腹膜より脱転し,膵を横切する.下部縦隔内のリンパ節を郭清後,食道を癌腫口側縁より十分に離して切離する.再建はRoux-en-Yなどによるが食道断端と空腸との吻合は腸管自動吻合器を用いる.
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