Japanese
English
臨床研究
大腸憩室症例の検討
Diverticular disease of the colon
片山 芳彦
1
,
伊東 敬之
1
,
藤森 健而
1
,
鈴木 卓
1
,
子日 光雄
1
,
矢野 隆嗣
1
Yoshihiko KATAYAMA
1
1済生会松阪総合病院外科
pp.1583-1587
発行日 1986年10月20日
Published Date 1986/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209562
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はじめに
大腸憩室症は,欧米では古くから知られていたが,本邦では比較的稀な疾患とされていた.しかし,近年,食生活の欧米化,平均寿命の延長,注腸造影検査の普及などにより急激に増加しており,重要な消化器疾患の一つとなつてきている1-3).症状を有する大腸憩室症,特にわが国で多いとされている右側大腸憩室症の大半は,内科的治療にて軽快する4).一方,大腸憩室症に伴う大量出血,穿孔性腹膜炎,膿瘍形成,イレウスなどの合併症を持つ症例は,外科的治療の絶対的適応であるが5),好発年齢が高いことなどより適切な治療が行われなければ重篤な臨床経過をとることがあり,臨床上重要な疾患である.
大腸に憩室のある場合,炎症の有るものと無いもの,また症状の有るものと無いものに分けられるが,臨床上,炎症所見の有無と症状の有無は必ずしも一致せず,また臨床的に炎症の有無を明確に区別することが困難であることより,Morson6)やParks7)らにより,これらを一括してdiverticular disease of the colonとすることが提唱されて欧米ではこの名が一般的になつてきている.われわれも欧米の考え方に従い,大腸に憩室のある全ての場合を憩室症として一括した.われわれが過去3年間に経験した症例について検討し,その治療法について考察を加えた.
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