特集 術後1週間の患者管理
合併症を有する場合の患者管理
糖尿病を有する場合の患者管理
田村 洋一郎
1
,
三村 孝
1
,
阿部 令彦
1
1慶応義塾大学医学部外科
pp.667-669
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207686
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外科糖尿病患者の術後管理上最も注意すべき点は代謝の変動に伴う栄養補給の問題である.非糖尿病患者でも術後早期には,手術侵襲に伴う内分泌変動によりsurgical diabetesと呼ばれる状態が出現し,糖同化能の低下から高血糖,尿糖の出現をみることがある.糖尿病合併例では術後の糖代謝異常がさらに助長される.一般に糖尿病に対する臨床面からのcontrolは高血糖と尿糖の抑制として捉えられている.しかし手術直後は血糖を正常値近くまで下げるのではなく,安定した状態に保つことを目標とし,血糖は250mg/dl以下,尿糖は摂取糖質量の10%以下にするよう心掛けるべきである.またketoacidosisを予防するため十分な量のカロリー補給と,これに見合つたインスリンの使用が必要である.したがつて糖質補給はglucoseを中心とし,150〜300g/日を経静脈的に投与し,尿糖・尿ケトン体をチェックし,sliding scaleによりレギュラーインスリン(RI)にてcontrolするのを原則とする.
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